この番組は作家・文献学者の山口謠司が、日本の食文化を通して全国各地で育まれてきた“日本ならではの知恵”を紐解くポッドキャストです。(FMラジオ局 J-WAVE 81.3FM では毎週月曜日から木曜日11:40〜11:50にオンエア中。)Navigator:山口謠司(http://abocavo.a.la9.jp)Sponsor:PLENUS( www.plenus.co.jp) / PLENUS 米食文化継承活動(https://kome-academy.com/)Production:E.A.U(www.eau.co.jp)
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EP. 705『@信楽 、其ノ二 - 茶粥・信楽・1200年』
信楽で静かに味わいたい料理といえば、朝宮茶で炊いた茶粥。炊いたご飯にお茶を注ぐお茶漬けとは違い、お茶の香りとお米の優しさが溶け合う味わいです。信楽に近い朝宮は、最澄が唐から持ち帰ったされる茶の産地で、昼夜の寒暖差が大きく、霧に包まれる急斜面に茶畑が広がります。手間をかけて育てられる朝宮茶は、日本一高いと言われる高級茶。この茶粥を食べてきたのが、信楽焼の窯焚き…
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EP. 704『@信楽 、其ノ一 - 白いごはんのおいしさよ!信楽焼』
滋賀県の信楽へ、お茶碗を買いに行きたくなりました。京都から草津、貴生川を経て、信楽高原鐵道で焼き物の町へ向かいます。信楽焼は鎌倉時代に始まった日本六古窯の一つで、古琵琶湖層の粘土を原料にしています。湖だった頃の記憶や、土と炎の力が器に込められているようで、心がひかれます。土の粒が見える薄緑色のお茶碗に白いご飯を盛ると、お米がきりっとして、湯気もいつもよりゆっ…
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EP. 703『@只見町 、其ノ四 - 只見のお米はいろんな命に姿を変える』
只見町では、お米はご飯だけでは終わりません。焼酎やウォッカにも生まれ変わります。米焼酎のブランド名は「ねっか」。地元の方言で「全く」「全然」という意味。焼酎造りで大量に出る酒粕にはアルコールが残っているため、再び蒸留してウォッカを造ります。さらに高知県産のゆずの皮を利用した「ゆずねっかウォッカ」も生まれました。アルコールを取り除いた酒粕は肥料として田んぼに還…
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EP. 702『@只見町 、其ノ三 - 只見のお米は奇跡です』
只見町で今回宿泊したのは、只見町の前々町長、目黒さんのご自宅。目黒さんが一人で開墾したという美しい棚田を見せていただきました。木を切り、石を動かし、水路を引き、苗を植え、毎日田んぼを見守る。自然と向き合いながら米を作る農業の大変さと、食べ物に込められた深い思いを実感しました。目黒さんにとって米作りは楽しみであり、生きがいでもあるとのこと。「もし悩んだり苦しい…
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EP. 701『@只見町 、其ノ二 - お魚いっぱい、自然がごちそう』
只見町を訪れるならぜひ只見線で。只見町には「只見線が通ったら手を振ろう」という条例があり、列車が通ると住民が家から出てきて手を振ります。只見町は「自然首都」を掲げ、水とブナの森、雪とともに暮らす町です。巨大な田子倉ダムは高さ145メートル、貯水容量約4億9千万トン。ボートでダム湖の奥へ進み、渓流で泳ぐと、水の中にはたくさんの魚やエビが生息していました。夕食は…
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EP. 700『@只見町 、其ノ一 - ティータイムに芍薬、朝食には百合根』
福島県の只見町は、山と川、田畑に囲まれた、どこか懐かしい町です。山道やトンネルを抜けるたびに緑が深くなって、都会の慌ただしさが少しずつ抜けていく。着くと、ふるさとに帰ってきたようにほっとするんですね。ここでは薬用の芍薬を約5年かけて育てています。根っこは漢方薬の原料に、摘んだ花は「只見の養生茶」というハーブティーになるんです。初夏には花摘みのボランティアもあ…
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EP. 699『@甲賀 、其ノ三 - かんぴょうにはあけぼの茶』
日本中、霧の湧くところにはお茶があります。甲賀市土山町は、なだらかな丘陵地帯に日が当たり、鈴鹿山脈から清らかな水が流れる土地。14世紀に京都・大徳寺から茶の種が運ばれ、江戸時代には「あけぼの茶」として東海道の名物になりました。丸く刈られた茶畑を眺めながらお茶をいただくと、何かひと口頬張りたくなります。そこで、かんぴょう巻き。甲賀市水口は、かんぴょう作りで知ら…
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EP. 698『@甲賀 、其ノ二 - 0.75倍速で頂く杉谷やさい』
甲南町杉谷には、杉谷なすびという伝統野菜があります。丸なすの仲間、杉谷なすびは濃い紫色の皮がつやつやと光り、柔らかいのに実はぎゅっと詰まって煮崩れしにくい。焼いても揚げても、じんわりとした甘みが楽しめます。その美味しさを生むのが、粘土と砂が混じった杉谷独特の土です。最近、外国語は速く聞くより、0.75倍速ぐらいゆっくり聞くことで前後から意味を想像しやすくなる…
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EP. 697『@甲賀 、其ノ一 - 兵糧丸は忍者の非常食』
忍者の里、甲賀へ。山あり谷あり、田んぼや集落が点在し、曲がりくねった道を進んでは次の土地へ。歩いていると、ここはまさに忍んで暮らしを守る里だったのだと感じます。甲賀の忍者が携えていたとされるのが「兵糧丸」。米やそば粉、小麦粉などに梅干し、胡麻、蜂蜜、生姜などを混ぜ、丸薬のように固めた携帯食です。山中で情報を集める忍者にとって、人目を避けながら空腹をしのぐ大切…
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EP. 696『@近江八幡 、其ノ四 - 心と身体を整える養生スープ』
東京にいると、いつも何かに追われています。でも近江八幡に来ると、なんとなく心がゆったりします。五個荘の「湖香六根」でいただいたのは、琵琶湖の天然すっぽんを使った養生スープ。近江八幡生まれの店主が、自ら心身をすり減らした経験から、故郷で体にいいものを提供したいと始めたお店です。顔色を見て黒と白のスープを選ぶそう。一口いただくと、ふーっと体から力が抜け、命がつな…
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EP. 695『@近江八幡 、其ノ三 - 赤コンニャク、日牟禮八幡さま』
近江八幡という町の名は、やはり八幡様と関係があります。ここに祀られているのが日牟禮八幡宮(ひむれまちまんぐう)。応神天皇が近江へ行幸した際、太陽が二つ見えたという伝承も残ります。近江八幡の食卓に欠かせないのが赤こんにゃく。鮮やかな赤色は鉄分によるもので、なぜ赤くなったのかは、織田信長が派手な赤を好んだから、安土城下に赤を好む文化があったからなど諸説あります。…
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EP. 694『@近江八幡 、其ノ二 - 小鮎のしあわせ』
琵琶湖のアユを楽しみに近江八幡へ。炭火で焼いた大きなアユを想像していたら、出てきたのは5〜7センチほどの小アユでした。一口で食べると、モロコとはまったく違う淡く爽やかな味。琵琶湖の美味しいところだけを食べて育ったような、高貴ささえ感じます。本来アユは秋に生まれて海へ下り、春になると川を上って苔を食べながら大きくなりますが、琵琶湖の小アユは湖で一生を過ごすので…
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EP. 693『@近江八幡 、其ノ一 - モロコ食べて、三方良し』
近江八幡は、小川に鯉が泳ぎ、黄金色の田んぼや遠くの山々が広がる静かな土地。近江商人屋敷・中江純五郎邸の離れに宿泊し、近江商人の理念「三方よし」に思いを巡らせます。売り手の利益、買い手の満足に加え、地域社会や環境にも役立つ商売を大切にする考え方です。かつて琵琶湖は塩味のない「淡い海」と捉えられ、近江は「淡海(あふみ)」とも呼ばれました。その湖で育つ小さな魚・ホ…
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EP. 692『@インスタント食品 、其ノ四 - フリーズドライ お味噌汁は句読点』
お味噌汁は、日本の食事における「句読点」のようなもの。ご飯やおかずの合間にひと口いただくと、そこに点や丸が入るような「間」が生まれます。今ではお湯を注ぐだけのフリーズドライも身近になりました。その原型ともいえる保存法は、南米アンデスのジャガイモにも見られます。第二次世界大戦では血液成分の保存、戦後は宇宙食へと技術が広がりました。日本では1960年代から研究を…
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EP. 691『@インスタント食品 、其ノ三 - 俳句の温かさ、レトルトカレー』
ロンドンから戻ったイギリス人の友人が、「日本のカレーが食べたくてたまらなかった」と言います。俳句を作る彼にとって、俳句は「レトルトカレーのようなもの」。どこにいても温めれば、家の味や人のぬくもりのような親しみを感じられるからだそうです。そもそも「レトルト」とは袋ではなく、加熱する容器や装置を表す言葉。1968年に発売されたボンカレーは、市販用レトルト食品とし…
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EP. 690『@インスタント食品 、其ノ二 - 宇宙に飛び出すカップラーメン』
インスタントカメラ、コーヒー、ラーメン。「インスタント」という言葉から、いろいろなものが浮かびます。1958年、安藤百福さんが大阪・池田の自宅裏の小屋で試行錯誤を重ね、誕生したのがチキンラーメン。当時は「魔法のラーメン」とも呼ばれました。その後アメリカで、丼の代わりに紙コップへ麺を割って入れて食べる姿を見たことが、食習慣の壁を越えるカップヌードルへとつながり…
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EP. 689『@インスタント食品 、其ノ一 - 乾飯、調理時間は歌一首』
現代のインスタント食品といえば、ラーメンやレトルトカレーが思い浮かびますが、その原型ともいえる食べ物は平安時代にもありました。在原業平がモデルとされる『伊勢物語』第九段では、都を離れて東国へ向かう男が、三河国の八橋で「乾飯(かれいい)」を食べようとします。乾飯は、炊いたり蒸したりした米を乾燥させ、旅に携帯した保存食。カキツバタを折句にした「唐衣 きつつなれに…
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EP. 688『@発酵 、其ノ一 - 甘酒』
「発酵」の「発」は、もともと弓が勢いよく飛び出すことを表す字。「酵」は酒へんで、お酒を作る「醸す」につながります。お米や麦、大豆が、もくもくと湧き返るように変化し、酒や味噌などへ姿を変えていく発酵。千葉県の神崎町には、全国で初めて発酵をテーマにした「道の駅 発酵の里こうざき」があります。ここで知ったのが甘酒の違いです。米麹から作るものは、お米そのものの甘さを…
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EP. 687『@横浜 、其ノ四 - ニュースが来る!新しい食文化への見直しが始まっている!』
江戸時代、人をつないだのは街道でした。明治になると、その役割を鉄道と新聞が担うようになります。1871年、横浜で日本初の日刊新聞「横浜毎日新聞」が創刊。開港後の横浜には海外の出来事だけでなく、牛乳、牛肉、パン、西洋野菜など、初めて見る食べ物も次々と入ってきました。1869年には馬車道で日本人によるアイスクリンの販売も始まり、食べ物そのものが新しい時代を知らせ…
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EP. 686『@横浜 、其ノ三 - 横浜中華街、登竜門を越える鯉料理』
古代中国では魚、中でも鯉は大切な存在でした。孔子は息子に「鯉」と名付けています。鯉が川を上り、登竜門を越えて龍になるように、息子への期待を託したのかもしれません。また中国語では「魚」と余裕の「裕」が同じ発音で、魚にはゆとりや豊かさにもつながるイメージ。横浜中華街の朝陽門を見上げると、そこにも二匹の金色の龍。門をくぐって老舗北京料理店へ向かい、いただきたいのが…